【松戸市初】金ケ作の「御陣屋太鼓」が有形民俗文化財に指定されました
松戸市に古くから伝わる貴重な太鼓が、新たに文化財として認定されました。
8月6日付けで、金ケ作の八坂神社に保管されている「御陣屋太鼓」が市指定文化財となり、有形民俗文化財としては市内で初めての指定となります。
江戸時代から受け継がれてきた太鼓
この太鼓は江戸時代の天明2年(1782年)以前に作られたもので、胴の高さは50.8cm、口径は48.0cmという立派なサイズです。胴の内部には江戸時代に書かれた墨書も残されており、その歴史の古さを物語っています。
興味深いのは、この太鼓が単なる楽器として使われていたわけではないことです。
江戸時代には金ケ作陣屋で「触れ太鼓」として活用されていたと伝えられています。触れ太鼓とは、重要な知らせを住民に広く伝えるために打ち鳴らす太鼓のことで、現在でいう町内放送のような役割を果たしていました。
地域の信仰と生活に根ざした存在
昭和50年(1975年)頃まで、この太鼓は金ケ作地区で行われていた「オコモリ」と呼ばれる念仏講で大切に使われてきました。地域の人々が集まって念仏を唱える際に、この太鼓の音が響いていたのです。
近年でも地域の様々な行事で活躍しており、単なる古い道具ではなく、今も生きている文化財として地域に愛され続けています。
松戸市初の有形民俗文化財指定
松戸市教育委員会では、市内に存在する重要な文化財を松戸市指定文化財として指定し、その保存と活用を進めています。
今回の指定により、松戸市の指定・登録文化財は合計63件となりました。
内訳は以下の通りです。
- 国指定文化財:7件
- 県指定文化財:5件
- 市指定文化財:49件
- 国登録文化財:2件
なぜ文化財指定が必要なのか
市では、この太鼓を「触れ太鼓としての役割だけでなく、地域の信仰生活を知ることができる実物資料として貴重」と評価しています。
特に重要なのは、その伝承がまだ残っているうちに適切な保護を図る必要があるという点です。
古い文化財は、使われていた当時の記憶や知識を持つ人がいなくなってしまうと、その真の価値や使われ方が分からなくなってしまう可能性があります。
地域の歴史を物語る貴重な証人
御陣屋太鼓は、金ケ作地区の長い歴史を現代に伝える貴重な証人です。江戸時代の行政機能から地域の信仰活動まで、様々な場面で人々の生活と深く結びついてきました。
このような文化財の指定は、単に古いものを保存するだけでなく、私たちの先祖がどのような暮らしをしていたか、どのような文化を大切にしてきたかを知る手がかりともなります。
今回の指定を機に、金ケ作地区をはじめとする松戸市の歴史や文化に対する関心がより一層高まることが期待されます。
